神の平安(シャローム)に思いを寄せて
アドベントを迎えました。
主イエス・キリストの降誕を待ち望むときです。
聖書には、イエス・キリストの誕生に至るまでの物語が二人の福音書記者の視点を通して記されています。そして、その二つの物語には、いずれも歴史と時代的な背景が色濃く描かれています。そして、私たちも、「今」という時代に、それぞれの歴史の積み重ねの中で、クリスマスを迎えます。
ところで、私たち日本バプテスト連盟の事務所では、その年度の総会ポスターのデザインを用いたクリスマスカードを作成しました。一昨年、昨年に続いて総会ポスターをデザインしてくださったMさんが、デザインに込めた思いを届けてくださいました。
「今年も総会ポスターのデザインを担当させていただきました。昨年同様、多様な声が響き合う協力伝道をイメージしました。それぞれ異なる意見や祈りを、パズルのピースにとらえ、パズルが組み合わされるように教会・連盟が作られるイメージで作成しました。」
私は久しくジグソーパズルをしていないのですが、以前、パズルに挑戦したとき、ひとつのピースをなくしてしまいました。そのため、出来上がったパズルの絵は、間の抜けた感じとなり、未完成品となってしまいました。
パズルを始める前のたくさんの「ばらばらのピース」はどれも「その他大勢」のひとつに過ぎないように見えます。ところが、組み合わされてひとつの「絵」や「デザイン」となっていくときに、その一つひとつのかけがえのなさが見えてくるのです。
そして、私は失ったひとつのピースの大切さに気付きました。
イエスさまが生まれた時代、ユダヤを含め多くの国々を属国として支配していたローマ帝国は、属国の民をいくらでも替えの利く、ひとつのピースとして考えていました。そして、いつの時代でも、地域でも、そのように「ひとり」を考える力ある人たちがいるのです。
イエスさまが届けてくださったこと、それは、一人ひとりはかけがえのない存在として神に愛されている、というメッセージでした。
互いに互いを「かけがえのないひとり」として受け止め合うとき、私たちは神の国、神の平安(シャローム)という絵を描くことができるのではないでしょうか。
クリスマスを迎えるこの時、神の国、神の平安のイメージを心に浮かべてみたいと思うのです。
「愛を身につけなさい。愛は、すべてを完成させるきずなです。」
新約聖書 コロサイの信徒への手紙3章14節より
2025年12月
常務理事 中田義直
◎ 「第71回定期総会ポスター」はこちら
